Le Makeupは1997年大阪生まれ、井入啓介によるソロ・プロジェクトです。大学在学中に作曲に本格的に取り組み、2016年にEP『Diegese』でデビューしました。以降、国内外のインディーレーベルから作品を発表し、アンビエントやR&B、ジャパニーズポップを横断する新感覚のサウンドで注目を集めています。現在は自主レーベル〈Pure Voyage〉を主宰し、プロデュースやDJ、シンガーとしても活動中です。
音楽活動と世界観
電子音のビートにギターやボーカルの生音を融合させたLe Makeupの音楽は、静かで内省的ながら確かな鼓動を感じさせる独自のスタイルです。余計な装飾を削ぎ落としたミニマルな音像が聴き手をそっと引き込み、静かな高揚感をもたらします。ライブでも、シンプルな照明に浮かぶ静謐な佇まいと語りかける歌声で観客を自分の世界へ誘い込んでおり、音と言葉の間に宿るアート思考が静かに響くサウンドスケープを築き上げています。
アルバムと代表作
Le Makeupは独自の世界観を映した作品をコンスタントに発表してきました。主なリリースを振り返ります。
- 2016年:EP『Diegese』 – 在学中に制作したデビュー作。実験的な電子音響でシーンに登場。
- 2020年:1stアルバム『微熱』 – 自主レーベルから発表した初フルアルバム。全18曲セルフプロデュースで、パーソナルな歌詞とドリームポップ/レフトフィールドR&B的な音像が特徴です。
- 2023年:2ndアルバム『Odorata』 – 完全セルフプロデュースによる大作。Tohjiやgummyboy、環ROYなど同世代の才能を多数フィーチャーし、アンビエントからトラップまで多彩な要素を融合した奥行きのあるサウンドを展開。
- 2024年:3rdアルバム『予感』 – 前作から約1年3ヶ月で発表された最新作。全12曲中客演はDoveのみ。言葉にならない傷跡にそっと寄り添う静謐な歌と、多彩な音の要素が融け合った作品です。
コラボレーションの広がり
Le Makeupの音楽はコラボレーションによってさらに広がりを見せています。共同主宰のレーベル〈Pure Voyage〉では盟友Doveの作品をプロデュースし、gummyboyのEP全曲プロデュースなど裏方でも才能を発揮。また、tofubeats監修のドラマ『電影少女』サントラやNTsKi・Lil Soft Tennisへの楽曲提供、カナダのRyan Hemsworthとの共作など国内外のプロジェクトにも参加しています。さらにファッションブランドXLARGE®のキャンペーンでモデル兼BGM提供を務めた経歴もあり、音楽以外の領域でも独自の感性を発信しています。こうした多彩な交流で得た刺激が、Le Makeupの創作に深みと普遍性をもたらしていると言えるでしょう。
SNSでの発信
Le MakeupはSNS上で自身の活動を積極的に発信し、その飾らない言葉から人柄と情熱が伝わります。Twitter(X)では新作やライブ情報を自ら告知し、たとえばお笑い芸人・川島明のアルバムに楽曲提供した際には「自分も楽しみです」と喜びを報告。大型フェス出演の告知などからも、新たな挑戦へ臨む前向きな姿勢が伺えます。Instagramでも日常の一コマやアート的ビジュアルを切り取り、ミニマルで洗練された美学を共有。こうした発信スタイルはデジタルネイティブ世代の共感を呼び、ファンとの静かな繋がりを築いています。
最近のライブ・プロジェクト
2024年5月、東京・渋谷WWWにてキャリア初のワンマンライブを開催し、静寂な幕開けから徐々に熱を帯びるステージングで観客を魅了しました。過去作から最新曲まで網羅したセットの最後に「聴いてくれる人がいるってうれしい」と語った彼の言葉が印象的で、音楽を共有できる喜びを噛みしめる姿勢が感じられます。その成功を経て地元大阪でもワンマンライブを実現し、ライブパフォーマーとしての存在感を一段と高めました。さらに同年12月には大阪中之島美術館で、展示作品の音響システム「コブララック」を用いたソロ公演「The Crying Xpress」を開催。音楽と美術を融合させたこの実験的パフォーマンスからは、アートの文脈で自身の音楽世界を再解釈する新たな挑戦が感じられます。こうした取り組みにより、Le Makeupはライブ表現の領域でも常に進化を続けているのです。
静かな衝動を信じて表現する美しさ
クールでミニマルな音の裏側には、Le Makeup自身の内なる静かな衝動が脈打っています。それは派手さこそないものの創作の核となる原動力であり、忠実に音に昇華されたとき凛とした美しさを放ちます。独自の世界観を静かに貫く彼の姿勢から、「自分の静かな衝動を信じて表現することの美しさ」を教えられるようです。耳を澄ませば、彼の音楽がそっと背中を押してくれる──そんな感覚をぜひ味わってみてください。
彼のファッションスタイルは、彼の作り出す音楽と同様、ジャンルレスで独自の美学を持っており、シンプルなコーディネートの中に、個性的なアクセサリーやカラーを取り入れて、自分らしさを表現したり、自由でボーダーレスなファッションを楽しんでいます。そんな彼のアイテムはピックユーでチェックできます。